実話をもとに作られた映画「英国王のスピーチ」のあらすじと感想

こちらも録画していた映画「英国王のスピーチ」をようやく鑑賞しました!

これって多少の差異はあるけれど、ほぼ実話のお話なんですね。

英国王のスピーチ」 あらすじ

主な出演者
アルバート  コリン・ファース
エリザベス妃 ヘレナ・ボナム=カーター
ライオネル  ジェフリー・ラッシュ

英国王ジョージ5世の息子である主人公、アルバート王子は幼い頃から吃音症の悩みを抱えていました。

立場上、大勢の国民の前でのスピーチしなければならない時でも、どもってしまうので、
アルバート王子は人前で話す場を極力避けていました。

妻エリザベス妃は夫のこの症状を心配し、
言語協会が推薦する言語療法士ライオネルの元を訪ねます。

ライオネルの治療法は今までの医者の治療とは全く違う方法ばかりでしたが、
今までの治療とは違い、アルバート王子の症状は次第に良くなっていきます。

父、ジョージ5世の健康状態が悪くなり、後継者問題が現実的になってきた頃、
後を継ぐはずの兄エドワード8世は離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリスと結婚すると言い出します。
そうなると兄は王位を継げず、アルバート王子が国王にならなければならなくなります。

演説に不安のあるアルバート王子はこれに反対。

その事をライオネルに話すと、「君(アルバート王子)が王位を継ぐべきだ」と言うライオネル。
その意見にアルバート王子は激怒し、ライオネルの元に通うのをやめてしまいます。

1936年にジョージ5世国王が逝去し、兄エドワードが即位しました。
だが、その一年後エドワードはウォリスと結婚するため、王位をアルバート王子に譲ったのです。

国王になってしまったアルバート王子(ジョージ6世)は吃音で王位継承スピーチに失敗。
アルバート王子はライオネルに謝罪して、再び治療を再開。特訓に励みます。

その頃、ヒトラー率いるナチスはイギリスに開戦宣言し、アルバート王子は長いスピーチをしなければならなくなりました。

ライオネルはそのスピーチに備えての練習はもちろんのこと、
スピーチ中もアルバート王子の側に付き、彼を励まします。

そしてアルバート王子(ジョージ6世)のそのスピーチは大成功をおさめ、
ジョージ6世とエリザベス妃はイギリス国民の大歓声に包まれるのでした。

英国王のスピーチ」感想

この作品の感動ポイントはアルバート王子と一般人のライオネルとの友情

立場が違うだけに、意見も違い、言い合いになる事も多かったけど、
「喧嘩するほど仲がいい。」を地で行く2人の関係に心温まるものがありました。

心を許さなければ喧嘩にまで発展しないで終わりますもんね。

それが《王室の人と一般人》という身分が違う2人というのも、感動をよりUPさせてくれました。

 

「英王国のスピーチ」細かい感想

資格を持った医者が行う吃音症の治療って、
ビー玉7個を口に入れて本を朗読する。とか、拷問に近い感じです。
昔はこういう治療が主流だったんですね。

資格を持たない言語療養士ライオネルの治療は
・話をする。わざと(?)怒らす。
・音楽を聞いて、自分の声が聞こえなくなる状態で朗読する。
・歌の節にあわせて喋らせる。

体をほぐす。顎をほぐす。など直接吃音症に効きそうな治療もあるけれど、
ほとんどが意味があるのか!?と思うような治療法。

現代となってはそれが普通なのかもしれないけれど、当時においては画期的だったんだと思います。

吃音症って生まれつきとか物理的な事が原因ではなく、心理的なものからくる症状なんですね。
ストレスや心の問題って本当に体の色んな所に影響が出て来ますね。

わざと怒らせるのも、心の中に詰まっている物を吐き出させる為なのかもしれません。

アルバート王子がだいぶライオネルを信頼し始め、
自分の過去を話し始めるその内容が結構キツイ💦

王としての教育のため、父から厳しい躾を受けてきた子供時代。
父は自分もそうだったから。と、恐怖によって子供たちを支配していた。
(因みに父のジョージ5世役は、ハリーポッターの映画で2代目ダンブルドアを演じたマイケル・ガンボンでした)

やりたかった遊びもやらせてもらえず、
X脚や利き手の矯正。
吃音症の矯正。

親以外にも、泣くと食事を与えてくれなかった乳母の虐待。

そりゃ吃音症にもなろうってもの。

特にそのシーンが出てくる訳でもなく、セリフで説明されているので、聞き流してしまいそうになるけれど、
1つ1つの事実を想像しているだけで、しんどくなってきます。

本人は精神的に相当な負担があったんだろう。と容易に想像できる。

そんな辛い過去を、ライオネルとは衝突しながらも話せる位の間柄になっている所が、(一見犬猿の仲にも見えるけれど)今では救いなのかもしれません。

やっぱり苦しい事は我慢すればするほど、病気や違う形で出て来る
我慢は程々に。ですね。

アルバート王子に「君が王になるべき」と言った事で、仲違いしてしまったライオネルとアルバート王子。

奥さんに元気がない事を指摘されたライオネルが、患者と喧嘩したことを告白。

「(彼は)偉大な人物になれる男だが、私に反発している」と言うライオネル。
それに対しての奥様の返答
「(相手は)偉大になりたくないのかも。あなたがそう願っているだけ。」
「謝るのよ。お互いの為に」という言葉が秀逸でした!

素敵な奥様ですね。

とうとう王位を返し、好きな女性との結婚を選んだ兄
なりたくなかった国王にならなければならないアルバート王子の心を思うと辛い。

王位継承評議会での宣誓で吃音が出るのは当たり前ですね。
真面目なアルバートだけに見ているこちらも心が痛い😢

アルバートが謝罪をし、再びライオネルの治療を受ける事になった国王。

その時にライオネルがアルバートに言った言葉。
「(吃音の原因となっていた父も兄も乳母も、もういない)
5歳の頃の恐れなど忘れていい。君はもう自分の道を生きている」が印象的でした。

そう、もうアルバートに恐れを与えていた人物は誰もいない。
もう恐れにとらわれる事はない。ということですよね。

吃音ってやっぱり心の問題なんだな。と、この映画を通じて知る事が出来ました。

そこに患者が国王である事を知らなかったライオネルの奥様が戻ってきて、
国王夫妻と対面するシーン。笑えました。

そりゃ一般人の家に公務でもないのに国王夫妻がいきなり現れて、
普通の人のように話されたらビックリです(笑)

一般人のライオネルが王室に関わる事を反対していた周囲の要人たち。
そんな周囲の人たちに、ライオネルが無資格で治療を行っていたことを聞かされ、
その事をライオネルに「詐欺だ!」ぶつけるアルバート

「吃音治療には運動や療法も必要だが、心の治療こそ大切だ。
彼らの叫びに耳を傾け、友が聞いている。と力づける事。」

資格はないが、今までの経験と実績で自分はそれを学んだ。というライオネル。
やっぱり経験って大事ですね。

正直、資格を持つ医者たちの形ばかりの療法よりも、心を治療する方が難しい事だと思う。

一見、ライオネルは柄が悪いように見えるけれど、相手の怒りや悲しみを聞き、受け止め、
王室関係者の嫌がらせや、軽蔑の目にも屈せず、自分の仕事をやり遂げようとする。
実際に、かなりの人格者だと思います。

最後のドイツとの戦争についてのアルバート(ジョージ6世)のスピーチは素晴らしかった。
彼の吃音の事情を知っていたら尚更です。

アルバートも最後は王の顔をしていましたね。

王と一般人ライオネルとの友情が描かれたこの作品。
集中して見ていると、感動ポイントがいくつもありました。

アルバートの奥様(エリザベス妃)もライオネル夫妻も素敵な方達でした。
身分に関係なく、何でも話せる相手がいる。というのは、本当に大事ですね。

イギリス王室

この記事を書くに当たって、映画の事を調べていると、
イギリス王国の歴代国王の記事などが一杯出てきました。

イギリス王室に興味のある方は、この映画、一見の価値があると思います。